破産手続きと雇用保険(失業保険)、健康保険、厚生年金の取り扱いについて解説しています。実際に破産手続きを進めるにあたって、雇用保険(失業保険)、健康保険、厚生年金といった各制度への対応をまとめています。
雇用保険=失業保険
雇用保険とはいわゆる失業保険と呼ばれる制度で、雇用保険の適用事業者に雇用される労働者は、一定の条件を満たせば、雇用保険から失業等給付を受けることができるため、会社の破産によって職を失うことになる従業員にとって雇用保険は重大な関心事です。雇用保険の支給要件との関係で、退職理由が事業者の倒産による解雇の場合、給付期間が延長され、給付金額が増額します。会社の破産によって職を失う従業員のため、破産申立ての準備と併行して、離職票、雇用保険被保険者証を交付できるように準備しておく必要があります。会社としては、退職日の翌日から10日以内に
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 雇用保険被保険者離職証明書
を、当該事業所を所管するハローワークに提出し、ハローワークで離職票の交付を受け、従業員に交付することになります。その上で、各従業員が、それぞれの住居を所管するハローワークで雇用保険の請求手続を行います。
健康保険
会社が破産した場合、会社から社会保険事務所に資格喪失届を提出することで、従業員は、従業員としての健康保険被保険者の資格を喪失し、保険証も返還することになります。次の就業先が決まっている場合には、当該就業先から保険証の交付を受け、当該就業先での被保険者資格により健康保険給付を受けることができます。これに対し、次の就業先が確定していない従業員が健康保険給付を受けるには、以下の方法を検討する必要があります。
- 資格喪失時の被保険者資格を継続して任意継続被保険者として健康保険を受給する。
- 国民健康保険に加入する。
- 健康保険の被扶養者となる。
いずれが当該従業員にとって有益であるかは、個別の事情によることとなりますので、(1)ないし(3)の選択肢があることを説明した上で当該従業員の選択に委ねることになります。
厚生年金
会社が破産した場合、会社から社会保険事務所に資格喪失届を提出することで、従業員は、厚生年金の被保険者資格を失うことになります。次の就業先が既に決まっている従業員については、当該就業先に年金手帳を提出することで当該就業先での手続が可能となります。他方、次の就業先が決まっていない従業員については、国民年金への種別変更手続が必要ですので、会社から厚生年金資格喪失証明書の交付を受け、退職日から14日以内に住所地の市町村に種別変更届を提出して、国民年金への種別変更手続をとる必要があります。
雇用保険(失業保険)、健康保険、厚生年金の取り扱いはいかがでしたか?
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