会社の破産申し立てを検討する段階となったら、まず心配しなければならいないのが申立費用をどう捻出するかです。営業中の会社の場合、十分な現預金が残っていればなるべく早い時点で破産申立てをすることになりますが、そうでない場合には、しばらく営業を継続し、資金の出入りを日ベースでチェックし、現金が最大となる時点を申立日とすること過去の記事で何度も解説したとおりです。
会社破産費用確保のノウハウその際、支払いについては、可能な限りしないようにする必要がありますが、これは、申立費用を貯めるためだけでなく、偏頗弁済の防止という意味もあります。
最近受けたご相談の中で、債権者からの督促があるため、払わないといけないのではないか、という心配をされている経営者の方がおられました。しかしながら、一般の債権者は支払いを滞らせても、直ちに財産を差し押さえることはできないため、催促の電話や訪問等が営業の支障になる等の事実上の影響がある場合は別として、多少の支払遅滞は問題がないのが通常です。
ただし、租税等の債権については、裁判を経ずに直ちに差押えが可能ですので、税金等の支払いを遅らせている場合には、事案に応じた手当が必要となってきます。また、銀行からの借入金についても、債務整理通知等を送った場合に預金と相殺されてしまいますので、事前になるべく引き出しておく必要があります。また、自動引き落としにより支払いをしているものについても、残高不足にしておかないと支払いをしてしまうことになりますので、注意が必要です。
このように、営業中の会社で申立費用が不十分なケースでは、債権者によっては注意が必要な場合もありますが、多少支払いが滞ったとしても、売掛金の入金日等、現金が最も大きくなる日まで営業を継続するという方針をとることになります。ただし、新たな仕入れをする等、破産の方針が確定した後に買掛金等の債務を増やすことは厳に慎まなければなりません。これに対し、既に仕入れてしまった在庫があるような場合には、申立てまでになるべく売却できるよう努めるべきでしょう。
日比谷ステーション法律事務所
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