平成26年4月から消費税が8%に引き上げられましたが、顧客から預かった消費税を国に納付するのが困難である会社が少なくないという話をしばしば耳にします。
消費税の増税と会社(法人)破産
なぜ消費税の納付が難しくなるのか
当然のことながら、消費税は、本来顧客から預かっているものであり、国に納付しなければなりません。しかし、納付期限までは手元にキャッシュがあるということになりますので、これを運転資金等に流用することも事実上可能です。
実際、消費税分を別口座に積立てる等の方法により分けて管理せずに、他の支払いに回して、納付期限に何とか用立てて間に合わせるというような、自転車操業的なやりくりをしている会社は少なくありません。
このように、消費税について、預かった分を納めるというよりは、金融機関や買掛先への支払いと同様に扱っている会社にとっては、増税後に納める消費税は5%→8%、つまり1.6倍となりますので、資金繰りへのインパクトは相当大きくなります。そこで、これまでの感覚でやりくりをしていると、納税額が思いの外大きくなってしまいます。このような資金の扱いにより、上記のように納付が難しくなる会社が増えているのではないかと思われます。
消費税を納付しないとどうなるか
では、消費税が納付できないとどうなるでしょうか。
消費税は税金の一種ですから、期限までに納税できないと、滞納処分を打たれることになります。資金繰りの厳しい会社は、これを絶対に避けなければなりません。金融機関や買掛先への支払いと異なり、裁判という時間がかかる手続をせずに、いきなり財産を差し押さえられてしまうからです。
具体的には、銀行等から預金を引き出せなくなったり、売掛先から支払いを受けられなくなったりするため、資金繰りが急激に悪化してしまいます。このような事態に陥らないよう、消費税だけでなく、その他の公租公課への資金手当には、常に注意しておきたいところです。
期限内に納税資金を用立てられない場合
それでも、会社の経営状況によっては、どうしても資金の都合がつかないこともあります。そのような場合、税務署に相談の上、分割払いを認めてもらっている会社も少なくありません。手元の資金は乏しいものの、数か月先に確実な入金が見込めるような場合には、この手段も検討に値するといえます。
ただし、税務署に対しては、必ず納付するという姿勢を示さなければならず、倒産を検討しているようなことが知られると、滞納処分をうけるおそれが大きくなるため、この点は十分注意していただきたいと思います。
納付を分割にしても、資金繰りが厳しい場合
仮に分割払いを認めてもらえたとしても、資金繰りができる見込みが立たないという場合には、残念ながら会社(法人)破産を検討せざるを得ないことになります。ここで気を付けなければならないのが、破産申立てにも費用がかかり、営業中の会社については、会社の規模や状況によってある程度まとまった金額が必要となるということです。/p>
従業員や取引先のことを考えるあまり、資金ショートの直前まで営業を続けた上でご相談にお越しになる経営者の方もいらっしゃいますが、ご相談だけでも、余裕のあるうちにお越しいただきたいと思います。特に、税金の滞納があるケースでは、上記のように預金や売掛金といった会社の財産が直ちに差し押さえられてしまう危険があるため、迅速かつ慎重な対応が必要となります。
早めのご相談を
日比谷ステーション法律事務所は、税金の滞納がある会社の破産申立ての実績が多く、滞納処分の危険がある中で、最大限経営者や従業員の方の利益を確保するためのノウハウを蓄積しております。
上記のように、税務署と相談した上で消費税の納付をし、営業を継続していくことが難しいとお考えになりましたら、お早めにご相談されるようお勧め致します。
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