会社の経営者が会社と同時に破産を申し立てる場合、経営者自身が債務の返済義務を免れるには、裁判所による免責許可決定を受けなければなりません。破産法上は、これに規定されている免責不許可事由がない限り、免責許可決定がなされるものとされており、また、免責不許可事由がある場合にも、破産に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認められるときには、免責許可決定を受けられることになります。これを裁量免責といいます。 そこで、経営者としては、破産申立てに当たり、免責不許可事由に該当しないように注意しなければなりません。主な免責不許可事由としては、次のとおりです。
- 不当な破産財団価値減少行為
- 不当な債務負担行為及び不利益処分
- 不当な偏頗弁済
- 浪費又は賭博その他の射幸行為による著しい財産減少行為及び過大な債務負担行為
- 詐術による信用取引
- 帳簿、書類その他の物件の隠滅、偽造・変造
- 破産管財人の職務の妨害
特に、経営者には、取引先等に迷惑をかけたくないという動機で、(3)に及んでしまう傾向がありますので、注意が必要です。破産という選択をする以上、誰にも迷惑をかけずに済ませる解決方法はないと割り切り、このような行為に及ばないようにすべきでしょう。なお、破産手続が終了し、免責を受けた後に、新たに得た収入から取引先等に返済していくことは何ら問題ありません。まず、経営者自身が免責により経済的再生をすることで、取引先等へ与えた不利益の回復に努める機会や選択肢が増えることになります。
日比谷ステーション法律事務所
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