破産申立ての準備にあたっては、売掛先、債権額、債権発生時期等を明確にし、目録を作成する必要があります。その際、目録を作成するための資料、具体的には、請求書や納品書等の書類を、破産管財人にスムーズに引き継げるよう、売掛先毎に整理しておくことが望ましいといえます。
次に、売掛金を破産申立前に回収しておくかどうかについてですが、破産に方針を定めた時点で、弁護士報酬や予納金といった破産申立てに必要な費用をまかなうのに十分な現金が会社に残っているケースは多くありません。そこで、売掛金を回収してこれに充てるというプロセスを経ることがありますが、これをどのように進めていくかは、申立代理人とよく相談し、事案毎に最適な選択となるよう注意する必要があります。
まず、売掛金が振り込まれる金融機関に債務がある場合には、相殺をされるおそれがありますので、事前に振込先を変更できないか売掛先に相談し、できない場合には、振込後直ちに引き出すよう準備をすることが必要です。振込先の口座から自動引落しで支払う契約がある場合も同様です。
また、公租公課の滞納がある場合には、直ちに売掛金債権を差し押さえられるおそれがあります。特に、税務署等から呼出しを受け、売掛先を把握されているようなケースでは緊急性が極めて高いため、支払日の前に申し立て、破産開始決定を得て差押えを受けないようにした上で、破産管財人を通して回収するようにしたほうが望ましいといえます。
日比谷ステーション法律事務所
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